コラム

溶接の資格の種類と取り方|特別教育・JIS溶接技能者評価試験

溶接の仕事に関わる資格には、法律で受けることが決まっている「特別教育」や「技能講習」と、腕前を証明する「JIS溶接技能者評価試験」があります。それぞれの違い、受けられる条件、取り方、未経験から取っていく順番の目安を、板金工場で働きたい人向けにまとめました。

溶接の実習ブースが並ぶ明るい研修室。作業服姿の受講者2人と講師が、ブースのほうへ歩いていく後ろ姿

溶接の資格は大きく2種類ある

「溶接の資格」とひとことで言っても、性格の違うものが2つあります。

1つ目は、労働安全衛生法にもとづいて、その作業をするために受けることが決まっている教育や講習です。アーク溶接の「特別教育」や、ガス溶接の「技能講習」がこれにあたります。安全に作業するための知識と基本の操作を学ぶもので、腕前の良し悪しを測るものではありません。

2つ目は、溶接の技能を持っていることを証明する試験です。代表的なのが、一般社団法人日本溶接協会が行っている「JIS溶接技能者評価試験」です。実際に試験材を溶接し、その出来ばえで合否が決まります。取引先から、この資格を持つ人が溶接することを求められる仕事もあります。

板金工場で溶接を担当するなら、まず1つ目で作業ができる状態になり、経験を積んでから2つ目で腕前を証明する、という流れが一般的です。

アーク溶接等の業務に係る特別教育

板金工場で多く使われる被覆アーク溶接、半自動溶接(CO2溶接など)、TIG溶接は、いずれもアーク溶接の仲間です。事業者が労働者をアーク溶接の業務につかせるときは、この特別教育を行うことが労働安全衛生規則で定められています。

内容は、学科と実技に分かれています。学科では、電気やアークの基礎、溶接装置の仕組み、感電やヒューム(溶接で出る煙)による健康障害を防ぐ作業方法、関係する法令を学びます。時間は学科が11時間以上、実技が10時間以上と定められており、多くの講習は3日ほどの日程で行われています。

受け方は、会社の中で教育を行う場合と、各地の労働基準協会や溶接協会、教習機関が開く講習に参加する場合があります。特別な受講資格はなく、未経験の人が最初に受けるのが普通です。入社後に会社の手配で受けることが多いため、応募の段階で持っていなくても心配はいりません。

ガス溶接技能講習

アセチレンなどの可燃性ガスと酸素を使って、金属を溶接したり、切断したり、加熱したりする作業には、「ガス溶接技能講習」の修了が必要です。こちらは特別教育よりも一段上の「技能講習」で、都道府県労働局に登録した教習機関が行い、学科と実技を受けたうえで修了試験に合格すると修了証が交付されます。

板金工場では、ガスで鋼材を切断したり、曲げる前に加熱したりする場面で必要になります。工場によって使うかどうかが違うため、配属される仕事に合わせて受けることになります。

JIS溶接技能者評価試験

溶接の資格を取る順番の目安の図解。ステップ1アーク溶接の特別教育、ステップ2現場で経験を積む、ステップ3JIS評価試験の基本級、ステップ4専門級。ガスで溶接や溶断をするならガス溶接技能講習

日本溶接協会が、JIS(日本産業規格)にもとづいて行っている試験です。溶接の方法ごとに規格が分かれており、板金工場に関係が深いのは次のようなものです。

  • 手溶接(被覆アーク溶接):JIS Z 3801
  • 半自動溶接:JIS Z 3841
  • ステンレス鋼溶接:JIS Z 3821

それぞれに「基本級」と「専門級」があります。基本級は下向きの姿勢での溶接、専門級は立向きや横向き、上向きなど、より難しい姿勢での溶接が対象です。さらに、板の厚さや裏当ての有無などで細かい種別に分かれています。

受験の条件は、15歳以上で、基本級は1か月以上、専門級は3か月以上の溶接の実務経験があることです。試験は学科と実技があり、実技では決められた条件で試験材を溶接し、外観と、試験材を曲げて割れがないかを調べる曲げ試験で評価されます。申し込みは、各地の溶接協会などを通じて行います。

合格すると「適格性証明書」が交付されます。この資格は一度取れば終わりではありません。有効期間は1年で、引き続き溶接の仕事をしていることを確認する「サーベイランス」の手続きを毎年行い、3年ごとに再び試験を受けて更新する仕組みです。会社で管理してくれることも多いですが、自分でも期限を把握しておくと安心です。

未経験から取っていく順番の目安

未経験で板金工場に入り、溶接を担当していく場合の流れは、おおむね次のとおりです。

まず、アーク溶接の特別教育を受けます。これで溶接の作業につけるようになります。

次に、現場で経験を積みます。先輩の指導のもとで、仮付けや簡単な部品の溶接から始め、少しずつ任される範囲が広がっていきます。

経験を積んだら、JIS評価試験の基本級に挑戦します。多くの人は、ふだんの仕事で使っている溶接の方法から受けます。

そのあと専門級へ進みます。立向きや横向きの溶接ができるようになると、任される仕事の幅が大きく広がります。

あわせて、ガスを使う作業がある工場ならガス溶接技能講習を受けます。どの順番で何を受けるかは、工場の仕事の内容によって変わるので、面接や見学のときに聞いてみるとよいでしょう。

玉掛けやフォークリフトなど、溶接以外で板金工場の仕事に役立つ資格は入社1年目で身につくことと、あると役立つ資格に、資格が給料にどうつながるかは板金工の給料はどう決まる?にまとめています。

資格取得を支援してくれる工場を選ぶ

講習や試験には、受講料や受験料がかかり、平日に時間をとる必要もあります。そのため、会社が費用を負担してくれるか、講習の日を勤務として扱ってくれるか、取得すると手当がつくかどうかは、工場を選ぶときの大事な点になります。

マッチ工場ナビ リクルート版では、全国の板金工場の求人を、こだわり条件の「資格取得支援」や「未経験OK」で絞り込めます。気になる求人が見つかったら、仕事内容の欄で、どの資格を、どんな形で支援しているのかを確かめてみてください。

なお、講習の日程や受講料、試験の受験料は、実施する団体や年度によって変わります。受ける前に、各地の労働基準協会や溶接協会、教習機関の最新の案内を確認してください。


板金工場の求人を探している方へ
マッチ工場ナビ リクルート版では、全国の板金工場の求人をエリアや「資格取得支援」「未経験OK」などの条件から探せます。会員登録は不要です。
求人を探す

人材を募集している板金工場の皆さまへ
マッチ工場ナビ リクルート版に、資格取得の支援内容まで伝わる求人を掲載して、溶接の仕事に興味がある方に見つけてもらいませんか。求人の掲載申請は無料です。
無料で求人掲載を申請する

トピックス一覧に戻る